行政書士試験を受けようと検討中の皆さんの中には、既に情報収集を始めている方も多いと思います。
ネット検索では、予備校や通信講座の情報がたくさん出てきますが、試験日程や申込方法などの正式な情報は、試験実施機関である「行政書士試験研究センター」のサイトを確認するのが一番安心です。
この記事では、行政書士試験について、試験の概要やスケジュール、出題内容などの基本情報を、初めて受験を考えている方向けにまとめました。
公式情報をもとにしつつ、初学者の立場で分かりやすく整理することを意識しています。
まずは試験全体の流れを把握するための参考として、必要なところから気軽に読んでいただければ嬉しいです。
行政書士試験とは
行政書士試験は、「行政書士の業務に関し必要な知識及び能力」について行われる国家試験です。
この試験に合格することで、行政書士となる資格を得ることができます。
なお、「行政書士となる資格」は、行政書士試験に合格した人のほか、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格を持つ人や、行政事務を20年以上担当した公務員などにも認められています。
こうした難関資格をすでに持っている場合や、長年行政事務に携わってきた公務員でない限り、行政書士試験に合格することが、行政書士になるための最も一般的なルートと言えるでしょう。
行政書士となるためには、この「行政書士となる資格」を証明する書類を添えて、日本行政書士会連合会へ登録申請を行います。
登録が完了すると、正式に行政書士として活動できるようになります。
受験資格は? 誰でも受けられる?
行政書士試験は、年齢、学歴、国籍などにかかわらず、誰でも受験することができます。
令和6年度の試験では、最年少が12歳、最年長が90歳と、非常に幅広い年齢層の方が試験に挑戦しています。
学歴や実務経験の年数が受験要件とされる資格試験も多い中で、行政書士試験は、多くの人に広く門戸が開かれている試験であると言えるでしょう。
試験日はいつ? 申し込みの流れ
行政書士試験は、毎年1回、11月の第2日曜日に実施されます。
例年7月の上旬に、行政書士試験研究センターのサイトでその年の試験情報が公示されます。
受験申し込みは、インターネットまたは郵送のいずれかの方法で行います。
インターネット申込みと郵送申込みでは申込期間が異なるため、注意が必要です。
なお、どちらの申込み方法でも、顔写真の提出が求められます。
合格発表は、翌年1月下旬に行政書士試験研究センターの公式サイト上で合格者の受験番号が掲示されます。
その後、個人宛に合否通知書が郵送される流れとなっています。
試験日程や申込方法の詳細は、毎年変更される可能性もあるため、受験を検討されている方は、必ず公式サイトで最新の情報を確認するようにしましょう。
試験科目・問題形式と配点
行政書士試験の試験科目は、「法令等」と「基礎知識」の大きく二つに分かれています。
それぞれの問題形式と配点は以下のとおりです。
●法令等
科目
憲法、行政法、民法、商法、基礎法学
問題形式・配点
・五肢択一:4点 × 40問
・多肢選択:8点 × 3問
・記述式:20点 × 3問
合計:244点
●基礎知識
科目
一般知識、業務関連法令、情報通信・個人情報保護、文章理解
問題形式・配点
・五肢択一:4点 × 14問
合計:56点
このように、行政書士試験は全60問・300点満点で構成されています。
特に、記述式問題は3問で60点と配点が大きく、合否を分ける重要なポイントと言えるでしょう。
合格基準と難易度
●合格基準
行政書士試験の合格基準は、以下の3点をすべて満たすこととされています。
- 法令等科目:満点244点中 122点以上
- 基礎知識:満点56点中 24点以上
- 総得点:満点300点中 180点以上
このように、行政書士試験では法令等・基礎知識のそれぞれに基準点が設定されています。
いわゆる「足切り」がある点には注意が必要です。
たとえば、法令等が122点の場合、基礎知識で満点(56点)を取ったとしても、合計は178点となり不合格になります。
また、総得点が180点を超えていても、基礎知識が24点未満であれば不合格です。
どちらか一方に偏るのではなく、両分野で一定の得点を確保するバランスの取れた学習が求められる試験だと言えるでしょう。
●難易度
行政書士試験の合格率は、おおむね10%前後で推移しています。
直近5年間の合格率は以下のとおりです。
- 2024年:12.9%
- 2023年:14.0%
- 2022年:12.1%
- 2021年:11.2%
- 2020年:10.7%
参考までに、他の法律系資格の合格率を見ると、
司法書士:約5%、社会保険労務士:約6%、宅地建物取引士:約16%となっています。
これらと比較すると、行政書士試験は法律系資格の中では中級程度の難易度と考えることができるでしょう。
試験の実施会場と選ぶときのポイント
行政書士試験の実施会場は、全都道府県に設置されています。
居住地にかかわらず、どの試験会場でも受験が可能です。
ただし、選択した会場が定員に達した場合は、他の試験会場に変更されることがあります。
また、申し込み後の転居など、受験者の都合による会場変更は原則できません。
私は、居住地とは別の都道府県の試験会場を選択しました。
交通の便を考えると、他県の会場のほうがアクセスが良かったからです。
試験当日は、時間に余裕をもって行動できるかどうかも重要になります。
受験申し込みの前には、会場までのアクセスや所要時間なども含めて、事前に確認しておくことをおすすめします。
試験時間と当日の流れ
行政書士試験の試験時間は、13時から16時までの3時間です。
長丁場になるため、ペース配分を誤ると致命的になりかねません。
模試などを活用し、本番と同じ時間配分で解く経験をしておくことが重要だと感じました。
また、3時間の試験中には、途中で集中力が途切れそうになる瞬間もあります。
科目ごとの得意・不得意や、解答にかかる時間を踏まえ、あらかじめ解く順番を決めておくのも一つの戦略です。
私は、マークミスを避けるため、問題は頭から順番に解答しました。
また、自信のない問題に執着せず、できるだけ時間を残すことを意識していました。
その結果、残り時間で時間のかかる問題を落ち着いて見直すことができたと感じています。
行政書士って何をする人?
ここまで、行政書士試験の概要についてお伝えしてきました。
ここからは、行政書士とはどのような業務を行う資格なのかについて説明していきます。
行政書士法第1条の2には、次のように定められています。
「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。」
つまり、行政書士の業務は、大きく分けて次の三つの書類を作成することです。
- 官公署に提出する書類
- 権利義務に関する書類
- 事実証明に関する書類
具体的には、営業許可申請書、契約書、示談書、内容証明、各種議事録などが挙げられます。
また、これらの書類作成に関する相談業務も、行政書士の業務に含まれます。
ただし、他の法律で制限されている業務については、行政書士が行うことはできません。
たとえば、他の士業の独占業務として法律で定められているものは、行政書士の業務範囲外となります。
日本行政書士会連合会公式サイトには、行政書士の業務内容について非常にわかりやすい説明があります。
より詳しく知りたい方は、一度確認してみるとよいでしょう。
「特定行政書士」とは?
「特定行政書士」とは、通常の行政書士業務に加えて、行政機関に対する不服申立て手続きの代理を行うことができる行政書士のことです。
例えば、建設業の許可申請が不許可処分となった場合、
その処分を不服として審査請求を行う際に、特定行政書士が代理人として手続きを行うことが可能になります。
特定行政書士になるためには、日本行政書士会連合会が実施する所定の研修課程を修了し、試験に合格する必要があります。
行政書士全体に占める特定行政書士の割合は、およそ10%程度といわれています。
これから勉強をはじめる人へ
行政書士試験は、長期間の学習が必要になる試験です。
だからこそ、試験内容やその先の資格のイメージを持ったうえで学習を始めることが大切だと感じています。
この記事が、行政書士試験に興味を持っている方や、これから勉強を始めようとしている方の参考になれば幸いです。
自分のペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。



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